7月27日(日)。デヴィッド・リンチ監督の長編映画はすべて観たので、残すはTVドラマの金字塔『ツイン・ピークス』。パイロット版こと《序章》を鑑賞しました。
※以下、サスペンスのネタバレなし雑感。
※おもにデイル・クーパー捜査官と食べ物について。

リンチ作品に欠かせない作曲家アンジェロ・バダラメンティのテーマ曲で始まるこの連続ドラマに挑戦するのは、実は2回目。町の人気者の女子高生を殺した犯人探しのミステリーであると同時に、大人もティーンエイジャーも恋人がいて浮気相手がいるメロドラマな人間関係についていけず、シーズン1の途中で脱落しました。しかしすっかりリンチ作品に耐性がついた今は楽しめるはず( • ̀ω•́ )✧キリッ
川辺に打ち上げられたローラ・パーマーの遺体の美しさ、一人娘を突然失った両親の絶望と、彼女の死を知らされる前から不吉ななにかを感じている友人たちの様子など、《序章》はリンチの感情に訴える演出が炸裂しています。

一方、カイル・マクラクラン演じるFBI特別捜査官デイル・クーパーは、赴任早々《ツイン・ピークス》という田舎町がすっかり気に入ってしまって、浮かれ最骨頂。好物のコーヒーもチェリーパイもドーナツも美味しいし、樹木や鳥にも興味津々です。ローラの遺品である日記帳の鍵を素手で破壊し、木彫りの笛を手作りします。ツインピークス警察署の保安官ハリーがまたナイスガイすぎるので、捜査におけるFBIと地元警察の主導権争いといった刑事もの定番の対立もスルー。バディ化するの早すぎて草。


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7月28日(月)。歯医者の定期検診のあと、作り置きおかずの用意。水っぽいかぼちゃが焼いても美味しくならなくてしょんぼりしました(´・ω・`)シュン

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7月29日(火)。『ツイン・ピークス』本編開始の第1話を鑑賞。殺されたローラの同級生オードリーの父親が経営する《グレート・ノーザン・ホテル》に滞在中のクーパー捜査官。甘党で大喰らいの彼の体型がスマートなのは、朝のトレーニングを欠かさないからかもしれません。もっとも有名な台詞の1つ「Damn good Coffee(ヤバい美味いコーヒー)」がここで登場。あきらかに変人なのに明るくてハンサムで社交的なクーパーのキャラクターはとっても魅力的だと思います(´∀`*)ウフフ

しかしローラは学生なのに、バイトして家庭教師してボランティアやって風俗やって薬にも手を出して、多忙すぎて寝る暇なくない?スーパーウーマンすぎる。

続いて第2話を鑑賞。リンチが演出しているのでリンチ節が炸裂しています。突如現れる赤い部屋のシュールレアリズムを具現化したようなビジュアル、時間を飛び越えて空間が捩れたような衝撃。小人俳優マイケル・J・アンダーソン氏の奇妙なダンスで終わるエンドクレジットがたまりません(◎△◎)ポカーン

クーパーの同僚で皮肉屋のFBI捜査官アルバートも登場しますが、自分はクーパーのとんでもインスピレーション捜査に全面的に付き合ってくれるツインピークス署の面々が、あまりにも良い人たちすぎるので度肝を抜かれました。警察署の受付係のルーシーなんて、そのでたらめな発想を間に受けて自主的にチベットの本を読んで勉強してるの健気すぎる(*´Д`* )アアン

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7月30日(水)。殺されたローラにそっくりの従姉妹マデリーンが登場する『ツイン・ピークス』第3話。ローラの葬式で、彼女の表向きの恋人であるボビーが暴れるシーンが印象的でした。いかにもイキった若者の振る舞いをするボビーですが、実は複雑な感情を抱えた人物であることが伺えます。

しかしカリカリに焼いたベーコンだとか、メープルシロップとハムは合うだとか、各話で飯テロするのやめてほしい。《ハックルベリー・パイ》のハックルベリーとは、ブルーベリーに似た果実だそうです。マーク・トウェインの小説のキャラの名前としか知りませんでした(°▽°)テヘ
続いて第4話。リンチ監督が役者として演じているFBI上官ゴードン・コールが、電話口の声で登場します。
「女は男とは違う生き物」。男性が口にするこういった台詞は、九割九分が女性を同じ人間扱いしていなくて、男の無神経さと思考放棄が垣間見えて地雷なんですが。次のシーンが《ダブルR・ダイナー》の女主人ノーマと従業員シェリーの「男なんてタダ働きのメイドがほしいだけ」という会話で、かえって作り手側は信用できる気持ちになりました。90年代ドラマにしてはバランス感覚に優れている気がします(・△・)ビックリ

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7月31日(木)。家宅捜索の合間にもドーナツとコーヒーを欠かさない『ツイン・ピークス』第5話を鑑賞。クーパー捜査官に近づきたい高校生のオードリーは、年上の男性に憧れるファザコンで悪知恵の働く悪戯っ子ですが、最愛の娘を亡くしたローラの父リーランドの姿に涙したりと、冷淡な性格でないの魅力的。オードリーのファッションは毎話の楽しみです。パイロット版のショートヘアと50年代白黒シューズも可愛かった(*’▽’*)キュン


山小屋の捜索では、神出鬼没な《ログ・レディ(丸太おばさん)》と遭遇。テーブルの上のクッキーをさっそく食べようとするクーパーが、子どものように手を叩かれるのがおかしい笑。

『ツイン・ピークス』第6話。ホテルの部屋に勝手に侵入してベッドに誘うオードリーに、けして手を出さないクーパー捜査官がまともな大人で安心しました。二人のロマンスは盛り込まれる予定が、俳優同士の折り合いが悪くて控えられたそうですが、かえって英断だったと思います。FBI捜査官が高校生と付き合うのはもちろん、ツインピークスの成人男性たちがローラに夢中だったことには憤りを覚えます。
90年代の日本では【援助交際】だとか【ブルセラ】だとか、性風俗的な意味でもって〝女子高生〟という存在がもてはやされた時期がありました。アメリカでも似たような現象があったのかもしれません(・m・*)グヌウ

「小さな秘密を教えよう。毎日ひとつ、自分にプレゼントするんだ。計画したり、待ってはダメ。偶然でないと。お店で見つけた新しいシャツでもいいし、オフィスでいっとき、うたた寝するのでもいい。あるいは熱くて美味いブラックコーヒーとかね」。一番好きなクーパー捜査官の台詞です(o^-‘)bグッ
続いて第7話、シーズン1の最終回を鑑賞。まさかの主人公が撃たれるシーンで終わるので、リアルタイム視聴者は気が狂いそうになったのではないかと思います。ローラの遺体を見つけたときにも泣いていた保安官のアンディが、咄嗟にハリーを守って成長を見せるシーンは感動しました(*^^*)ニコニコ

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8月1日(金)。クリフハンガーに引っ張られ、さっそく『ツイン・ピークス』シーズン2第1話を鑑賞。主人公が死にかけているのにホテルのルームサービス係のお爺ちゃんのちんたらした動きを延々と見せられるギャグが、心の底から酷いと思いました(褒め言葉)。『ストレイト・ストーリー』といい、リンチ監督は老人のゆっくりした動作が好きすぎる(´Д` )ハァン

オードリーの父親ベン・ホーンは、風俗嬢の正体に気づかないままベッドに迫ります。たとえ顔が見えなくても自分の子どもだって気づかない??父親のこんな姿を見せられたら年頃の娘はトラウマになる(||๐_๐)ゲンナリ
ローラの秘密の恋人で、今はローラの親友ドナと付き合っているジェームズ。そんなジェームズの叔父であり親代わりであるエドと、その妻のネイディーン。おそらくエドの優柔不断さでもって情緒不安定なネイディーンは、とうとう自殺を図りました。エドは《ダブルR・ダイナー》のノーマと高校時代から恋仲で、ずっと不倫関係を続けています。なぜエドがネイディーンと結婚したのか、なぜネイディーンが海賊のような眼帯をしているのかが明かされます(;ω;)ウルウル

ふたたびツインピークスにやってきたアルバート捜査官と珍しくオレンジジュースを飲んでいるシーズン2第2話。

ローラの表向きの恋人だったボビーと、ボビーの浮気相手であるシェリー。二人はシェリーの旦那で今は植物状態になってしまったレオを引き取り、保険金を手に入れようと企てます。たとえお金が貰えたとしても、介護ってめちゃめちゃ大変なのに……。嫌な予感しかしない( •́ω•̀ )ウーン
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8月2日(土)。『ツイン・ピークス』シーズン2第3話を鑑賞。皮肉屋のアルバートがまさかの非暴力主義とは。クーパーはダライ・ラマに心酔し、アルバートはガンジーとキング牧師を敬愛って、どんなFBI捜査官?( ̄▽ ̄;)ハハハ
親友の墓に花を手向けながら、死んでしまったローラへの感情を爆発させるドナが切ないです。混乱と恐怖。憧れと嫉妬。怒りと悲しみ。消すことのできない心から愛した親友の影。

あまり書くことがないシーズン2第4話。警察署の受付係のルーシーはお気に入りキャラで、保安官のアンディと合わせて可愛いカップルなんですが、やっぱり彼女も浮気していて、しかも妊娠してしまいました。もちろん二股はよくないですが、アンディに自分の子ではないと否定され、浮気相手のディックからも中絶費用を言い渡されて、ルーシーがあまりにも可哀想(;▽;)グスン
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8月3日(日)。作中では12日しか経っていないことに驚く『ツイン・ピークス』シーズン2第5話を鑑賞。オードリーの書き置きをずっと忘れているクーパーにイライラしてたんですが、ようやく気づいてくれてホッとしました。なんといっても仲間のピンチに現れる保安官のホークがかっこいい。ネイティブ・アメリカンで追跡能力に長けていて、いつも左耳に付けているターコイズ?かなにかのピアスがセクシーで大好きです(*´∀`*)キャッキャッ

《ブラック・ユーコン・サッカーパンチ》なる謎の飲み物が出てきました。ブルーの泡は、青く着色したオレンジの皮のリキュールに、卵白と生クリームを泡立てたものらしい。カナディアン・ウィスキーに蜂蜜を加えた【ユーコン・ジャック】と、コーヒーを混ぜて、グラスに注いで、先ほどのブルーの泡を乗せるんだそうです。冷温の違いはありますが、アイリッシュコーヒーに構成は似てる気がします。かなり甘いんだとか。

続いてシーズン2第6話。デヴィッド・リンチ監督が自ら演じるFBIの上官、ゴードン・コールがついに画面に登場!聴覚障害があり両耳に補聴器を着けているゴードンとの会話はつねに大声。壁があっても警察署内に全部筒抜けというギャグが続きます。それでも部下を信頼して大切にしている素敵な上司です。ずっと見ていたい(*’ω’*)シュキ
ローラの両親を慰めるために長く滞在していた従姉妹のマデリーンは、とうとう家に帰ることにしました。ジェームズが二人を混同視していたことを「ローラになれた」と嬉しそうに微笑むマディ。人間関係が希薄なためか見せ場に欠けるジェームズですが、マディとのお別れのシーンはよかったと思います。

《グレート・ノーザン・ホテル》に滞在中の謎の日本人、タジムラ氏(英語表記だとMr. Tojamura)が「長崎」というワードを口にするので、すわリンチ監督のテーマのひとつである原爆か?なにかの伏線か??と思いきや、これといってなにもなくて拍子抜けしました(-△-)ゲセヌ
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8月4日(月)。彩りよく作り置きおかずを頑張ったご褒美に、『ツイン・ピークス』シーズン2第7話を鑑賞。

ゴードン・コールFBI局長は警察署の面々に声をかけ、オレゴンの任務へと向かってしまいました泣。娘のオードリーによって悪事を暴かれるベン・ホーンに溜飲を下げつつ、謎の日本人タジムラ氏の正体に唖然とするなか、また新たな犠牲者が出てしまいます。
リンチ監督と脚本家のマーク・フロストは、本作最大のミステリーを〝解決しない事件〟として構想していました。しかしあまりに世界的なブーム、社会現象となった犯人探しの熱は収まることを知らず、大衆の声に屈したテレビ局側からの要請に従って、《ローラ・パーマー殺人事件》の犯人はこのシーズン2第7話で明かされてしまいます。そして哀しいかな、リンチとフロストが予測していたとおりにドラマとしての勢いを失っていってしまうのです(;∀;)ピエン
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8月5日(火)。バッグに入った死体のくだりにハラハラする『ツイン・ピークス』シーズン2第8話を鑑賞。ネタバレになるので詳しく言及しませんが、犯人を演じる俳優の演技が素晴らしく恐ろしいです。ラストシーンには思わず目を背けたくなりました(>д<;)ウウウ

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8月6日(水)。ドナに指輪を贈った直後にドナから離れていくジェームズにキレそうになる『ツイン・ピークス』シーズン2第9話を鑑賞。とうとう事件が解決します。日記に書かれたローラの夢と、クーパーが夜毎に見る夢が時空を超えて繋がっている展開、ある人物の「The gum you like is going to come back into style(あなたの好きなガムがまた流行します)」という台詞にはゾクゾクしました(;゚Д゚)ハワワ

リンチ作品において〝炎〟というモチーフは繰り返し出てきますが、このエピソードではロシアの映画監督アンドレイ・タルコフスキーのように、浄化の雨が降り注ぐのが印象的です。しかしハリーが言うように、ローラの身に起こったことは本当に◯◯だけのせいだろうか……?
シーズン2第10話。事件から3日後の後日譚。前回に引き続き、ローラの母親サラを慰めるクーパー捜査官は地上に遣わされた天使かなにかのよう。しかしこの場の住民たちは、いったいなにをどこまで聞かされて集まったのだろう(・・?)

クーパーはツインピークスから離れるため、皆に別れを告げます。友達でいよう、という相手の言葉を受け入れながらも、自分が大人になったら覚悟するように、と釘を刺すオードリーはかっこいい。「友情は長続きするわね」「あなたの欠点は完璧なことよ」いちいち台詞も気が利いています。ボビーの父親であるブリッグス少佐と夜釣りの約束をしているクーパーに、特製の釣り道具と秘密組織《ブックハウス・ボーイズ》のワッペンを贈るハリーとのやりとりも素敵でした(⸝⸝´꒳`⸝⸝)ホワン
しかし状況は一転。シーズン2第5話にて、カナダ領内に許可なく潜入したクーパーは内部監査の対象になってしまいます。相棒の代わりにキレるハリーはナイスガイだし、停職処分になっても落ち込まずにブリッグス少佐との夜釣りというか焼きマシュマロを楽しむクーパー捜査官は、本当にめげない人だと思います(°∀°)ホホホ
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8月7日(木)。上司のゴードンがクーパーを「クープ」と呼んでいるのが可愛い『ツイン・ピークス』シーズン2第11話を鑑賞。クーパーを調査するため、DEA(麻薬取締局)のデニース・ブライソン捜査官が赴任します。90年代当時にトランスジェンダーのキャラクターが珍しくもない普通の人物として放送されていたとは思いませんでした。知人の女性姿に戸惑ったものの、クーパーは「デニスではなくデニースと呼んでほしい」という彼女の言葉をごく自然に受け入れます(*’▽’*)ステキ

同じくシーズン2第12話。物語はだんだん感情移入できない、どうでもいいと感じるシットコムのような様相を呈してきました。停職処分をいいことに、ツインピークスに家を買おうとしているクーパーの切り替えの早さには笑いましたが。住み着くつもりか。「女性エージェントがいるの?」とデニースの存在に目を輝かせつつ、クーパーにキスをして相手を牽制するのを忘れないオードリーが可愛かったです(*´꒳`*)ムフー
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8月8日(金)。デニースがスーツ姿のデニスになったりウェイトレス姿のデニースになったりするのがかっこいい『ツイン・ピークス』シーズン2第13話を鑑賞。停職中のクーパーが作戦に参加するために、自分の権限でもって副官に任命しちゃうハリーは本当に話が早くて助かります。でもいいのかそれ(-△-)?
シェリーは高校を中退して結婚してDVにあって、そんなヤバい夫のレオを今は介護していて、浮気相手のボビーは頼りにならなくて、同情する余地はたくさんあるんですが、男を見る目がなさすぎるε-(´Д` )ヤレヤレ
続いてシーズン2第14話。クーパーの元相棒であるウィンダム・アールが本格的に動き出します。
ジェームズの叔父のエドと《ダブルR・ダイナー》の主人ノーマの関係は、なんだかなぁと微妙な気持ちで見ています。エドは自分の問題に自覚がないし、そんなエドをずっと好きでいるノーマもよく分かりません。お互いに自分の配偶者を清算しないまま、ズルズルと付き合い続けているところが似たもの同士でお似合いなのかもしれない皮肉(=ω=)ウーム

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8月9日(土)。シェリーの夫のレオが『バトル・ロワイアル』みたいな首輪を付けられる『ツイン・ピークス』シーズン2第15話を鑑賞。
ハリーの恋人で未亡人のジョシーについては、『ブルーベルベット』のイザベラ・ロッセリーニが演じる予定が『ラストエンペラー』のジョアン・チェンに変更された点が面白いものの、キャラクターとして魅力は感じていませんでした。しかしシックな装いのお金持ちだった彼女がメイドに転じた姿は、同じアジア人だからか妙に胸が痛かったです(´・ω・`)ションボリ

再度ドラマが転換点を迎える、シーズン2第16話。ウィンダム・アールからの怪しげなメッセージを受け取ったドナとオードリーとシェリーの3人が《bang bang BAR》で鉢合わせるシーンはドキドキしました。ノーマといいジョシーといい、本当に美人しかいない町だと思います(´°▽°)ハハン



